「……あ、やっぱり通知じゃないか」
スマホをひっくり返すと、画面には何もない。
もう、3日。
彼に送ったメッセージは、既読もつかないまま宙ぶらりん。
出会って半年。
最初は返信が早くて、毎晩のように通話して、
「おはよう」も「おやすみ」も彼の声で始まり、終わっていた。
でも、ここ最近、彼は忙しいの一点張り。
会う頻度も、LINEの数も、どんどん減っていった。
“私、何かしたのかな”
“重いって思われた?”
“もう、終わりなの?”
言葉にできない不安が、心の中でずっと渦を巻いている。
涙も出ない夜。
ふと、以前フォローしていた占い師のプロフィールが目に入った。
「“待つしかない恋”に苦しんでいるあなたへ。
いま、本当に必要な言葉を届けます。」
躊躇いながらも、ボタンを押した。
数秒の呼び出し音のあと、柔らかく、でも凛とした女性の声が聞こえてきた。
「こんばんは。…今日は、何に一番苦しいって感じてる?」
そう聞かれた瞬間、なぜか涙が止まらなくなった。
「彼、私のこともう好きじゃないのかな」
「でも、嫌われたくないから、何も聞けなくて」
そう話すと、先生は静かに、こう言った。
「あなた、今“愛されてるかどうか”ばかりに目が向いているでしょう?
でも、愛したこと、信じたこと、それだけであなたは十分素敵だったのよ」
そして、こう続けた。
「彼は今、あなたの気持ちから目を背けてる。
でも、それは“あなたがダメだから”じゃない。
あなたが“深すぎる愛を与えた”から、受け止めきれなかったの」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に小さな光がともった。
「大丈夫よ、あなたの愛は、何も間違っていなかったから」
優しい声が、まるで誰かにそっと抱きしめられたみたいに、
私の震える心を包んでくれた。
電話を切ったあと、私はスマホをそっと置いた。
そして、窓の外に目を向けた。
夜の空が、不思議と少し明るく見えた。
“このまま終わってしまっても、私は私を大切にする”
そんな風に思えたことが、なによりの救いだった。
「待つだけの恋」がつらくなったあなたへ。
誰かを好きになるって、こんなにも怖くて、苦しいこと。
でも、苦しみを抜けた先にしかない優しさも、きっとある。
“もう無理かも”と思ったら、声を聴きにきてください。
あなたがちゃんと愛されるべき存在だということ、忘れないで。