「ごめん、結婚……できないかもしれない」
その言葉を聞いた瞬間、私はグラスを手から落とした。
破片が床に散らばる音が、心の中まで響いた。
プロポーズされたのは、ほんの2ヶ月前だった。
指輪はまだ、薬指に光っている。
それなのに、どうして今さら――?
彼とは職場で出会った。
一緒に残業した帰り道、ラーメン屋で笑い合ったあの夜が最初だった。
彼の真面目で誠実なところに惹かれて、
気がつけば、毎日彼の隣で未来を夢見るようになっていた。
「子どもは2人くらいがいいな」
「マンション買うなら駅近がいいね」
そんな話をしていたのに。
全部、私だけの夢だったの?
「理由を教えて」と言っても、彼は「ごめん」と繰り返すだけだった。
それから3日後、彼からの連絡は途絶えた。
LINEも既読がつかず、電話も出ない。
彼の部屋の前で待ち続けても、鍵は開かなかった。
私は、ひとりぼっちになった。
信じていた未来が、突然崩れた。
心が壊れそうだったその夜、
私はふと、ネットで見かけた「電話占い」のページを開いた。
あのときの私は、藁にもすがる思いだったのだと思う。
電話の向こうの占い師の先生は、静かにこう言った。
「彼はあなたを嫌いになったわけではありません。
ただ、彼の中に“自分はあなたを幸せにできない”という強い思い込みがあるようです」
「彼には家族のことで大きな悩みがあります。
あなたに話せなかったその想いが、彼を縛っていたのかもしれませんね」
私は、その瞬間、すべてを悟った。
彼の「嘘」は、私を守るためだったのかもしれない。
だけど、本当の「本音」は、ちゃんと伝えてほしかった。
泣いて、泣いて、泣き疲れた夜。
それでも心のどこかで、「嫌われたわけじゃない」と知ることができて、
私はようやく一歩を踏み出せた。
愛にはいろんな形がある。
でも、言葉にしなければ、届かない気持ちもある。
だから私は、もう一度だけ彼に会って、
ちゃんと話をしたいと思っている。
たとえその結末が、別れだとしても――
私はもう、逃げない。
💍 結婚目前で破局したとき、どうすればいい?
未来を信じていたからこそ、突然の別れは心に深い傷を残します。
でも、その“別れ”には、あなたが気づけなかった「本音」が隠れているかもしれません。
一人では抱えきれない気持ち、そっと吐き出してもいいんです。
