第13話:「今、彼に告白したい」
― 霊視編 ―
「告白しようか、それとも…」
美里(みさと)は、手のひらに汗をかきながらスマートフォンを握りしめていた。
気になる彼とは何度か話す機会があり、気持ちは確実に深まっていった。
でも、告白するタイミングがわからない。
「もし、彼が私の気持ちを受け入れてくれなかったら…どうしよう」
その不安が心を支配していた。
何度も何度も告白しようか迷い、でも結局勇気が出ず、送信ボタンを押せないままでいた。
そんな美里がふと目にしたのは、霊視の占い広告だった。
「あなたの恋愛運、彼との未来を霊視で見抜きます」
「霊視?ちょっと興味あるかも…」
その広告に心が引き寄せられ、美里は思わず申し込んでしまった。
◆
数日後、予約した時間になり、静かな女性の声が電話の向こうから聞こえてきた。
「こんにちは、美里さん。今日は霊視を通じて、あなたの恋愛に関する気になることを見ていきますね。
まずは、美里さんの名前と生年月日を教えていただけますか?」
美里は自分の名前と生年月日を伝え、霊視師が静かに視覚を通じてリーディングを始めるのを待った。
数秒の沈黙が続き、その後、穏やかな声が返ってきた。
「美里さん、少し感じたのですが、あなたは今、非常に大きな決断を迫られている時期にいますね。
それは、彼に対する告白のことだと思います。今、あなたが心の中で葛藤している様子が見えます」
美里は思わずドキリとした。
「その通りです…でも、どうしてわかるんですか?」
霊視師は静かに答えた。
「私が見ているのは、あなたのエネルギー、そして今のあなたが抱えている不安です。
その不安は、あなたが告白を決断することをためらわせています。
でも、実はあなたのエネルギーの中には、告白をしても大丈夫だという強い意志が隠れていますよ」
美里は少し驚きながらも、心の中でその言葉に安堵を感じた。
◆
「それでは、あなたが告白することについて、さらに詳しく霊視をしてみますね」
霊視師の声が続いた。
「あなたと彼の間には、非常に強い魂のつながりが感じられます。
彼はあなたの気持ちに気づいていますが、まだその気持ちにどう向き合っていいか分からず、少し迷っている様子が見えます」
美里は心の中で少しホッとした。「彼も、私に気づいているんだ」と思った。
「でも、美里さん、ここで重要なのは、あなたがどれだけ自分を信じて行動するかです。
もし告白するのであれば、あなたの気持ちに素直になり、正直に伝えることが大切です。
ただし、相手の反応に一喜一憂せず、どんな結果になっても受け入れる覚悟を持つことが必要です」
美里は少し考え込みながら聞いていた。
「もし断られたら、どうしよう…」
その恐れが心の中で渦巻く。
「あなたの恐れは、過去の経験から来ているものかもしれません。
でも、過去の恋愛は今のあなたとは関係ありません。
あなたは今、成長している自分を信じるべきです。もし告白したことで彼がその気持ちに応えられなかったとしても、それは決して失敗ではありません。
それは、あなたが自分を大切にし、勇気を持った証拠だからです」
美里は深呼吸をし、その言葉を心に刻んだ。
◆
「そして、もう一つ大切なのは、あなたが今後どんな未来を望んでいるかです。
あなたが彼とどうなりたいのか、その未来をしっかりイメージしてみてください。
未来は、あなたの意図と決断によって変わっていきますから」
美里は目を閉じ、彼と未来を共にしたいと願う自分をイメージした。
その想像がどんどん鮮明になり、心が温かくなるのを感じた。
「わかりました。私は彼に自分の気持ちを正直に伝えます。
結果がどうであれ、私はそれを受け入れる覚悟ができました」
霊視師は静かに微笑んだ。
「その決意が、素晴らしい未来を引き寄せますよ。
あなたの勇気が、素敵な結果を生み出すことでしょう」
◆
電話を切った後、美里はしばらくその場に座り込んでいた。
霊視師の言葉は、まるで心に灯りをともすように温かく響いていた。
「私が告白することで、何かが変わる…」
その予感が胸の奥で膨らんでいく。
数日後、美里はついに彼にメッセージを送った。
「実は、前からあなたのことが気になっていて、好きだって気持ちがあるんです」
送信ボタンを押す瞬間、手は震えたが、同時に心は軽くなった。
数時間後、彼から返事が届いた。
「実は僕も、美里さんのことを気になっていました」
その瞬間、美里は涙がこぼれそうになった。
あの霊視師の言葉が現実になったことを、心の底から信じることができた瞬間だった。
✨編集後記
霊視は、過去や未来の流れを視ることを通じて、自分の中にある恐れや迷いを取り除く手助けをしてくれます。
自分の気持ちを信じて、行動する勇気を持つことで、未来は必ず変わります。
