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《占いが導く、彼女たちの選択》

恋愛

第3話:「あの人は、運命の人ですか?」

― 霊視・透視編 ―


彼の名前を、スマホで検索してしまう夜がある。
別れたのは、半年前。
でも未だに「元カレ」という響きが、彼には似合わない気がしていた。

写真を見てしまえば、もっと苦しくなるとわかっているのに。
SNSに浮かぶ笑顔に、彼女が写っていないか探してしまう。

「……まだ好きなのかな、私」

沙羅(さら)は、自分の心がわからなくなっていた。
ただ、彼を思い出すたび、胸が締めつけられるのは事実だった。


「あの人は、運命の人だったのでしょうか?」

それが、沙羅が電話占いの霊視師に最初に伝えた言葉だった。

霊視――
“目に見えない世界”を通して、相手の本心や、2人の過去・未来を読み解く術。
占いというより、“視える人”と話す感覚に近い。

電話越しの女性は、少し間をおいてから静かに口を開いた。

「では、沙羅さんとその方の“縁の記憶”を、視てみますね」

目を閉じると、電波の向こうで空気が変わった気がした。


「……彼は、ずっと“何かを守ろうとしていた”ようですね。
あなたとの関係も、どこかで自分を抑えていたような感覚が視えます」

「……それ、当たってます。
いつも私がぐっと近づくと、ちょっと距離を取る人でした」

「でも、それはあなたを遠ざけたかったからではありません。
むしろ、“自分の弱さを見せたくなかった”んですね。
あなたに、かっこ悪いところを見せたくなかったんです」

心が、びくりと震えた。
誰にも言っていない。
“あの人は弱さを見せない人だった”なんて、たった一度も。

でも、たしかに彼は──別れる直前も、ずっと「大丈夫」ばかり言っていた。


「2人の間には、“前世的な縁”も感じます。
ただし……今回は“学びの関係”ですね」

「学び……?」

「はい。相手と付き合うことで、あなたは“本当の自分を大切にすること”を学び、
彼は“誰かを信じて甘えること”を学ぶ関係です。
恋愛というより、“魂同士のレッスン”のような関係だったようです」

まるで、あの恋が“教材”だったかのような言葉に、少しだけ苦笑した。


「じゃあ……もう、彼とは、戻れないんですか?」

静かに尋ねた沙羅に、占い師はこう答えた。

「戻ることはできます。ただし、“以前のままの関係”では、また同じ結末になります。
2人とも、変わる必要があります。
あなたが“自分の幸せ”を軸にして彼を見ることができたとき、
そして彼が“弱さを見せられる誰か”を必要としたとき、
自然と再び、道が交わる可能性は高いです」


その言葉は、“希望”でもあり、“挑戦”でもあった。

自分が変われば、また出会える。
でも変わらなければ、もう会えないかもしれない。

彼を変えたくて、あのとき必死だった。
でも今は違う。
自分を変えなければ、恋も未来も、動かない気がした。


その夜、沙羅は彼にメッセージを送ることはなかった。

ただ、LINEの画面を閉じて、自分のためにお風呂にアロマを垂らした。
お気に入りの紅茶を入れて、ふわふわの靴下を履いた。
「自分を幸せにする」って、たぶんこういうこと。

好きな人を思い出して泣く夜もあっていい。
でもその涙の先に、“ちゃんと自分がいること”が、何より大事。


彼との恋は、たしかに大切な思い出だった。
でも、それだけじゃない。

彼を好きになったことで、“自分自身を愛するという課題”を与えられたのかもしれない。
この恋は、あの人だけで完結しない。
私が私を取り戻すまで、終わらない。

沙羅はスマホを伏せ、静かに目を閉じた。
新しい恋が来ても、来なくてもいい。
まずは、“自分の愛し方”を、もう一度見直すところから。


✨編集後記

霊視は、“心の奥の感情”や“言葉にならなかった関係性”を浮き彫りにしてくれます。
思い出せなかった感覚や、曖昧だった本音を“視せてくれる”鏡のような存在です。

「忘れられない恋」の中にあるのは、未練だけではありません。
“その恋を通して、あなたが何を学んだか”というメッセージが、
霊視の中にきっと宿っています。

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