第6話:「私は、どうして、こんなに不安なの?」
― 四柱推命編 ―
「ああ、またか……」
葵(あおい)は自分の心を見失いかけていた。
会社でのプレッシャー、友達との関係、そして恋愛──すべてが彼女を不安にさせていた。
どうしてこんなに不安なのか、理由もわからない。
不安な気持ちに押しつぶされそうになる日々が続いていた。
「何かを変えたいけど、どうしていいかわからない」
心の中で答えを求めていた。しかし、思うように自分の気持ちを整理できないままでいた。
◆
ある日、葵はネットで見かけた占いの記事が気になった。
「あなたの不安の本当の理由を、四柱推命で読み解きます」
四柱推命──これまで試したことがなかった占術だ。
でも、彼女はその言葉に何かを感じ取った。
自分の不安や迷いが解決できる手がかりが、そこにあるのかもしれないと。
◆
予約をして、電話占いが始まった。
「こんにちは、葵さん。今日はお悩みをお聞きして、四柱推命でリーディングを行いますね」
「はい、よろしくお願いします。
最近、どんなに頑張っても不安が消えなくて、どうしてこんなに不安になるのか、自分でもわからないんです」
占い師は穏やかな声で答えた。
「葵さん、あなたの生年月日から四柱推命を見てみましょうね。
まずは、あなたの「本命」と「日柱」を見ていきます」
葵は、少し緊張しながら自分の生年月日を伝えた。
占い師がそのデータをもとに、何かを読み取る音が電話の向こうで静かに響いていた。
「葵さんの本命は「木」、日柱は「火」ですね。
木と火の組み合わせ、これはとても情熱的で、自己表現を大切にするタイプです。
でも、同時に「不安」も抱えやすい方なんですよ」
「不安を感じやすいんですか?」
「はい、木は成長を求めるエネルギーですが、火との相性が良い部分でもある反面、感情に波が出やすいんです。
つまり、葵さんは強いエネルギーを持っている一方で、自分の感情のコントロールが難しい部分があるんです」
「それが不安に繋がっているんですね」
「その通りです。あなたの心は、周囲の状況に影響を受けやすいんです。
でも、四柱推命は、そのエネルギーをうまく活かす方法を教えてくれますよ」
◆
「葵さん、あなたの不安は、実は自分の感情をうまく表現できていないことから来ているんです。
感情が溜まってしまうと、それが不安として現れてきます。
でも、木と火のエネルギーをうまく使うと、その不安を解消する方法も見つかるんですよ」
葵は静かにその言葉に耳を傾けた。
自分の中の不安が、少しずつ明確になり始めていた。
「どうすれば、その不安を解消できるんですか?」
「まずは、自分の感情を素直に表現することが大切です。
自分が感じていることを、抑え込まずに他の人に話す。
それができると、心が軽くなりますよ」
「でも、他の人に自分の気持ちを話すのが怖いんです」
「それも、葵さんの性格に合わせた問題です。
でも、あなたには“木”のエネルギーがありますから、自分の想いを他者に伝える力が十分に備わっています。
最初は怖いかもしれませんが、少しずつやっていくことが大事です」
葵は少しだけ勇気を出して、深呼吸をした。
この話が、心の中で少しずつ整理されていく感覚があった。
◆
「他にも、四柱推命で見ると、葵さんのエネルギーはとてもポジティブです。
物事を前向きに捉えることができるタイプですが、今はそのエネルギーを少し抑えてしまっています。
その理由は、周囲とのバランスを取ろうとするあまり、自分の本心に向き合えなくなっているからです」
「バランスを取ろうとしすぎていたんですね」
「その通りです。あなたの本来の力は、もっと大きなものです。
これからは、自分のエネルギーをもっと解放して、自分を表現することに集中してください」
◆
ヒーリングが終わると、葵は少し穏やかな気持ちで電話を切った。
自分の不安の根源がわかり、これからどうしたらいいのかも見えてきた気がした。
不安の原因は、自分の気持ちを押し込めすぎていたこと。
自分の感情を素直に表現することが、これからの課題だと感じた。
翌日、彼との会話で、初めて自分の本当の気持ちを伝えた。
いつもは避けていた話題だったけれど、今日は違った。
「実は、最近ちょっと不安で……」
その言葉を言うだけで、心が軽くなるのを感じた。
✨編集後記
四柱推命は、自分のエネルギーを知り、そのエネルギーを上手に活かす方法を教えてくれます。
不安や悩みがあるときこそ、自分の本質に向き合うことが大切です。
自分のエネルギーを理解することで、心が軽くなり、前向きに生きる力が湧いてきます。
