「奥さんとはもう終わってるって言ったよね？」
そう問いかけた私に、祐一は一瞬黙ってから、いつもの調子で笑った。
「うん。でもいろいろ事情があってさ、もう少し待ってくれる？」
その日もまた、同じセリフだった。
祐一と出会ったのは、職場の取引先。
彼はスマートで話がうまくて、いつもさりげなく私を気遣ってくれた。
でも名刺に書かれた“既婚者”という事実が、全ての始まりだった。
「妻とは冷えきってる」
「家庭内別居なんだよ」
「本気なのは君だけ」
その言葉を信じた私も、愚かだったのかもしれない。
だけど、信じたかった。
あのときの私には、祐一しかいなかったから。
夜のホテルのベッドで、彼が寝息を立てている間、私は天井を見上げて思った。
「私、このままじゃだめになる」って。
彼の隣にいるはずなのに、こんなに孤独なのはどうしてだろう。
会えるのは週に一度、彼の“都合”がいい日だけ。
会話の大半は、奥さんへの愚痴と会社の話。
私はただ、彼の慰め役でしかない。
その夜、思い切ってスマホを開いた。
「不倫 苦しい」――そんなワードで検索した先に、
電話占いの広告があった。
迷いながらも、ボタンを押した。
誰かに聞いてほしかった。ただ、それだけだった。
電話口に出た女性の声は、思った以上にあたたかくて、
私は自然と涙がこぼれていた。
「彼との関係が、辛いんです。いつまで待てばいいのか、わからなくて…」
彼女は、私の話を否定せずに、最後まで聞いてくれた。
そして、こう言った。
「あなたは、誰かの都合で愛される存在ではありませんよ。
“いつか”じゃなく、“今”、あなた自身が幸せになっていいんです」
その言葉を聞いた瞬間、私は嗚咽を漏らした。
翌朝、祐一に別れを告げた。
彼は驚いたように目を見開き、焦った様子で言い訳を並べたけれど、
私は静かに「さようなら」と言った。
あのとき、私の心には確かな光が灯っていた。
📞 不倫に揺れる心を、誰にも話せずにいませんか？
「いけない恋だ」とわかっているのに、
「でも彼が好き」と、気持ちを止められないあなたへ。
その想いは、決して恥ずかしいものではありません。
でも、自分が壊れてしまう前に、誰かに話してみてください。
▶ 「この恋、終わらせるべき？」悩んだら電話占いで本音を話してみる
愛することは、罪じゃない。
でも、愛されて幸せになれる自分を、あなたはもっと信じていいんです。
