「別れよう」って言ったのは、私だった。
感情的になって、勢いで言ってしまったあの日。
彼はそれ以上、何も言わなかった。
たった一言「わかった」とだけ残して、私の前から去っていった。
でも、今になってわかった。
本当に、彼のことが好きだったって。
だけど――
時間が経ちすぎて、どう動いていいのかわからない。
“彼のいない日常”に慣れたようで、慣れきれなかった
別れてから3ヶ月。
もう連絡もしない。
SNSも、ブロックまではしていないけど、お互いに触れないようになっていた。
日常のふとした瞬間に、彼の癖や言葉がよみがえる。
スーパーで彼が好きだったお菓子を見かけると、立ち止まってしまう。
（私、何やってるんだろう）
（もう、前に進まなきゃ）
頭ではそう思ってるのに、
心がいつまでも立ち止まったまま。
復縁したい。でも、“元カノ”から連絡するのって重い？
自分から連絡したら、迷惑かな。
嫌われたかもしれないし、もう新しい彼女がいるかも。
だったら、このままのほうがいいのかも――
そう思ってスマホを置いた夜は、決まって泣いてしまう。
（自分勝手かもしれない）
（でも、もう一度だけ、やり直したい）
（彼がまだ、私のことを少しでも覚えてくれてるなら…）
“動くべきなのか、待つべきなのか”
その答えが、どこにも見つからなかった。
「動きたい。でも怖い」そんな気持ちを、誰にも言えなかった
友達には言えなかった。
別れたとき、「あんな男やめときなよ」って言われていたから。
自分のなかでも、あれで良かったと思いたかった。
でも、想いが消せなかった。
苦しくて、涙が止まらなくて。
ふと、過去に救われた“あの場所”のことを思い出した。
あの優しい声に、もう一度だけ頼ってみよう。
そう思って、電話をかけた。
先生の声が、まるで心の隙間に灯るキャンドルのようだった
「お久しぶりですね。…大丈夫、今日はゆっくり話しましょうね」
涙がこぼれた。
何も言ってないのに、心の状態を見透かされた気がした。
「彼とは、復縁の可能性がありますよ」
「でも、大切なのは“あなたの想いを届ける準備ができているか”どうかです」
「復縁は、ただ連絡をすることじゃなく、“気持ちを再構築すること”。
タイミングと、伝え方がすべてなんです」
「動いてもいいんだ」そう思えた夜
「彼は、あなたとの別れを後悔していた時期がありました」
「でも、時間が経って“気持ちを切り替えようとしている”のも事実です」
「連絡をするなら、“未練”ではなく“前向きな気持ち”として伝えてください」
先生が導いてくれたのは、復縁の“タイミング”と“言葉の選び方”。
「会いたい」じゃなく
「また話せてうれしいな」
「久しぶりに思い出して、元気かなと思って」――
未来を願う視点で、彼にアプローチする方法だった。
“好き”は、ちゃんと向き合えば、もう一度咲かせられる
別れは“終わり”じゃない。
それは、“学び”であり、“再出発のきっかけ”にもなる。
彼のことを忘れたくない。
ちゃんと向き合いたい。
その気持ちに、ようやく自信が持てた。
そして、スマホを開いた。
震える指で、彼の名前を探して、メッセージを打った。
「久しぶり。ふと思い出して、元気かなって」
送信ボタンを押した瞬間、
“前を向いて動き出した自分”に、少しだけ誇りが持てた。
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