第5回：復縁か、前進か。沙羅の選択
揺れる気持ちに、静かに向き合う朝
あの日以来、彼からの連絡は少しずつ増えていた。
「今日、仕事早く終わりそう」
「最近ちょっと疲れててさ。癒されたいな」
そんな“甘え”が混じる言葉も出てくるようになった。
でも、沙羅の中にあったのは、単純な喜びだけじゃなかった。
「これって…どういうつもりなんだろう」
また期待して、また傷つくのが怖い。
彼が“戻ってきた”ように見えても、肝心なのは――彼の覚悟。
そして、沙羅自身がどうしたいのか。
「復縁したい」と言わせたいわけじゃない
沙羅は、気づき始めていた。
本当に欲しいのは、「彼の口から“戻ろう”って言ってほしい」ではなく、
「私が本当にこの人と、もう一度一緒に歩みたいか」
という、自分自身の気持ちの整理だった。
椿先生からの“最後のアドバイス”
もう一度、椿先生に電話をかける。
今回の相談は、“未来を決めるため”のものだった。
「先生。彼とはまた連絡を取り合ってます。優しくもしてくれる。でも、はっきりとした言葉はなくて……正直、私もどうしたいのか分からなくなってて」
少し沈黙ののち、椿先生は静かに語った。
「沙羅さん。占いで見えるのは、未来の“可能性”です。
彼と復縁する未来も見えています。でもそれは、“あなたがそれを望み、努力したとき”に開かれる道です」
「でも同時に、彼との関係にけじめをつけ、新しい誰かと幸せになる未来も、ちゃんと存在しています」
「あなたにとって、“愛されること”が一番大切なら、次へ進むのも選択肢のひとつ。
“愛したい”が勝つなら、彼と向き合う覚悟が必要です」
沙羅の答え
通話を終えたあと、沙羅は長い時間、窓の外を眺めていた。
夕暮れの街に、オレンジ色の光が溶けてゆく。
そして、スマホを手に取り、彼にこう送った。
「話がしたい。ちゃんと、これからのことを」
数分後、既読になり、そして――
「うん。俺も、ちゃんと向き合わなきゃって思ってた」
そのメッセージに、自然と涙がこぼれた。
「愛されたい」より、「ちゃんと向き合いたい」
彼と再び会った夜、沙羅は自分の気持ちをすべて伝えた。
「また中途半端な関係に戻るのは嫌。
でも、ちゃんと前を向いて“ふたりで”やり直したいと思えるなら、私は向き合いたい」
彼は黙って頷き、こう言った。
「俺も…同じ気持ちで、またやり直したいと思ってた」
「今回は、ちゃんと“隣にいる”ってこと、考えながら付き合いたい」
言葉にしてくれたことで、ようやくふたりの時間が、再び動き出した。
あの日、占いを信じてよかった
沙羅の恋は、占いによって決まったわけじゃない。
でも、迷いの中で灯りになってくれた。
それだけは、確かだった。
Epilogue：恋の選択に迷うあなたへ
恋愛に、正解なんてない。
復縁か、前進か――
その答えは、あなたの中にしかない。
でも、どうしても迷ってしまうとき。
一人じゃ決められないとき。
心を整理する“きっかけ”として、占いに頼ってみるのもいい。
沙羅のように。
もしあなたも、恋の選択に迷っているなら——
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