「ねぇ、今すぐ会えない?」
日曜の午後、結花(ゆか)はスマホを握りしめたまま、ずっと返信を待っていた。
3時間前に送ったLINEは、既読すらついていない。
彼は、忙しい人だとわかっている。
休日はたまに友達と出かけるとも言っていた。
でも——どうしてこんなにも、不安になるんだろう。
「このまま既読がつかなかったらどうしよう」
「もしかして、もう気持ちが冷めたのかも」
そんな考えが、頭の中をぐるぐると巡る。
気づけば、今日一日なにも手につかないままだった。
恋をしている、というより「彼がいないと不安になる」
結花の恋は、いつも「不安」とセットだった。
- LINEの返信がないと、落ち着かない
- 電話がつながらないと「浮気してるのかも」と思ってしまう
- 彼が楽しそうにしているのを見ると、自分が置いていかれたような気になる
「私って、重いよね。彼に嫌われたくないのに、いつも依存してしまう」
わかっているのに、止められない。
自分でも「恋しているというより、すがってるみたい」だと感じていた。
そんな自分を、誰かに否定されたくなかった
友達に相談しても、「もっと自分の時間を大事にしなよ」と軽く言われてしまう。
でも、そんな簡単な話じゃない。
「ひとりでいる時間が、怖いの」
スマホを見つめながら、結花は涙がこぼれそうになった。
——もう誰にも言えない。
この気持ちを、分かってくれる人なんていない。
そう思いながらたどりついたのが、「占い師・灯月(とうづき)先生」だった。
「寂しさ」は、悪いことじゃないんですよ
「こんばんは、結花さん。今日は、どんなことで悩まれているんですか?」
やさしい声でそう尋ねられて、張り詰めていたものが一気に崩れた。
「彼がいないと、すごく不安になるんです……私、重いですか?」
灯月先生は少し微笑みながら、こう言った。
「それは“重い”のではなく、結花さんがとても“愛情深い”人だからですよ。
ただ、その愛情を“彼だけに向けすぎている”のが、少しつらさの原因かもしれませんね」
あなたの心には、「愛の貯金箱」がある
「誰かに愛されたいと思う気持ちは、人として自然なこと。
でも、結花さんの“心の貯金箱”は、今ちょっと空っぽになっているのかもしれません」
灯月先生は、霊視で彼の気持ちと今の関係性を視ながら、丁寧に続けた。
「彼は、結花さんを大切に思っています。でも、“寄りかかられるほどに、逃げたくなる”という気持ちもあります」
それを聞いた瞬間、胸が締めつけられるように痛んだ。
でも同時に、「やっぱりそうなんだ」と思う自分もいた。

「彼を離さないために」していたことが、逆効果だったなんて
「寂しさを埋めるために、彼に会いたくなっていたんです」
「でもそれは、愛ではなく“依存”になってしまっていたのかもしれない」
灯月先生は、こんな言葉をくれた。
「まずは、自分の“心の貯金箱”を満たしてあげましょう。
好きなことをしたり、身体をゆるめたり、誰にも頼らず“自分を幸せにする”こと。
それができるようになると、自然と彼の方から“また会いたい”と思ってくれるようになりますよ」
「好きな人がそばにいなくても、自分は大丈夫」
占いのあと、結花は少し泣いた。
でも、その涙は今までと少し違っていた。
「自分で自分を満たしてあげるって、こんなに安心することだったんだ」
お気に入りのカフェにひとりで入ってみた。
ずっと気になっていた趣味を始めてみた。
そうやって少しずつ、自分との時間を取り戻していく。
すると、不思議なことが起きた。
彼から「最近、いい意味で落ち着いたね。なんか魅力的になった」と言われたのだ。
依存してしまう恋から、少しだけ自由になりたいあなたへ
- 寂しさを感じるのは、決して悪いことではない
- その寂しさを、誰かではなく“自分で満たす”練習をしてみて
- 自分に優しくできると、自然と彼からも“愛される人”に変わっていく
恋をしているときほど、自分を見失いがち。
でも、自分をちゃんと愛せるようになったとき、
その恋は、もっと自由で、もっと深いものへと変わっていく。
