別れて、もう1年。
それでも私は、彼のことを忘れられずにいた。
季節が巡って、同じ花が咲いて、同じ風が吹いても――
そのどこかに彼の影を探してしまう自分がいる。
別れの理由は、「好きだけじゃ、やっていけない」という彼の一言だった。
一緒にいる未来が、どうしても見えなかった。
お互いに頑張りすぎて、疲れ果てて、
愛することが「重荷」になってしまった。
わかってる。
それでも、あの日の笑顔も、喧嘩も、誕生日のサプライズも、
ひとつ残らず、胸の中に残ってる。
そして1年後の今日。
私は、彼からの一通のLINEに目を疑った。
「元気? 今夜、時間ある?」
突然すぎる連絡に、動揺する心。
でも、拒むことなんてできるはずもなかった。
夜のカフェ。
待ち合わせ場所に現れた彼は、あの頃より少しだけ痩せていた。
「久しぶり。元気にしてた?」
気まずさと懐かしさが混ざった空気の中で、
彼は小さな紙袋を差し出した。
「これ、君に……最後の、誕生日プレゼント」
中には、私がかつて欲しがっていた本。
どこにも在庫がなくて諦めたものだった。
彼は言った。
「ずっと忘れられなかった。君の笑顔も、声も、あの時間も。
でも……戻る勇気はなかった。
君が今、幸せでありますように。それだけを願ってた」
涙が溢れそうになった。
でも、私はただ、静かに笑った。
「ありがとう。私も……幸せになってほしいって、ずっと思ってたよ」
別れた人を、完全に忘れることなんてできない。
でも、思い出が“痛み”から“感謝”に変わるとき、
ようやく、本当の意味で前を向けるのかもしれない。
彼はもう、私の未来にはいない。
だけど、あの1年は、決して無駄じゃなかった。
“最後のプレゼント”は、
私にそう教えてくれた。
💫 忘れられない元恋人。復縁するべき?前に進むべき?
「なぜ今になって連絡が来たの?」
「もう一度やり直せる可能性はあるの?」
「それとも、これは“けじめ”だったの?」
そんな複雑な想いで胸がいっぱいのあなたへ――
愛の記憶は消せなくても、
あなたが進むべき道は、きっと見えてくる。