「あのときは、本当にごめん」
3年ぶりに再会した彼は、懐かしさと少しの違和感を残して、目の前にいた。
高校のときに付き合っていた元カレ。
別れた理由は、遠距離とすれ違い。
最後はLINE一通、あっけない終わりだった。
だけど、彼を嫌いになれた日は一度もなかった。
むしろ、彼以上に好きになれる人が現れなかった。
だからこそ――
「もう一度やり直したい」と言われた時、迷わず頷いた。
最初のうちは、毎日が夢みたいだった。
一緒に食べるごはん。
寄りかかれる肩。
「おかえり」と言ってくれる夜。
止まっていた時計が、ようやくまた動き出した気がした。
でも、1ヶ月…2ヶ月…
少しずつ、あの頃と違う彼の姿が見え始めた。
LINEの返事はそっけなくなり、
会ってもスマホばかり眺めている。
週末の約束も「疲れてるから」「仕事が忙しいから」と断られるようになった。
「なんか、変わったね」と言ったときの、彼の表情が忘れられない。
「オトナになったんだよ。
もう昔みたいに、ずっと一緒にはいられないだろ?」
その瞬間、心に冷たい風が吹き抜けた。
“彼とまた一緒にいられたら、幸せになれる”
そう信じていたのに、
目の前にいる彼は、もう「私の知ってる彼」じゃなかった。
彼は、時間とともに変わった。
そして私も、きっと変わっていた。
だけど私は、変わってしまった彼に、
過去の幻想を投影していただけだったのかもしれない。
どうしていいか分からなくて、
ふとネットで見つけた「復縁・恋愛相談・電話占い」の文字に目が留まった。
――藁にもすがる思いで、電話をかけた。
「こんにちは、初めまして。彼とは3年前に別れて、最近復縁したんですが…」
先生は、私の話を黙って最後まで聞いてくれたあと、こう言った。
「あなたはね、“昔の彼”と“今の彼”をごちゃ混ぜにしている。
でも、今のあなた自身が幸せかどうかを大切にして」
そして、こう続けた。
「愛は変わっていくもの。でも、
“自分がどう扱われたいか”を忘れてはいけないのよ」
その言葉が、胸に深く刺さった。
私は「彼を失いたくない」ばかりで、
「私自身がどうしたいか」を考えられていなかった。
電話を終えたあと、彼にLINEを送った。
「ごめん、私たちやっぱり、戻る場所を間違えたのかもしれない」
そのメッセージに、返事はなかった。
でも、不思議と涙は出なかった。
もう彼を「過去のままの彼」では見ない。
そして私は、もう過去の私じゃない。
“また一から恋をしよう”
そう思えた夜、世界は少しだけやさしくなった気がした。
💬「復縁は、幸せになるための“手段”であって“目的”ではない」
懐かしさや後悔から始まる復縁もある。
でもそれが、今のあなたを苦しめているなら――
立ち止まって、自分の心の声を聞いてください。
▶ 「復縁したけど、違和感がある…」そんなときはプロの視点で
本当に幸せになれる恋かどうか、
誰かと一緒に整理してみるのも、立派な一歩です。