――私は、いつも強くありたかった。
恋に傷ついたときですら、涙なんて見せたくなかった。
「さすがだよね、しおりって。なんでも完璧で」
職場でも友達にも、そう言われるたび、私は笑ってうなずいた。
しし座の私は、期待されることに慣れていた。
「頼れる女」として振る舞うのも、もう演技ではなくなっていた。
恋愛だって同じだった。
自分から追いかける恋より、追いかけられる恋。
主導権を握り、感情のコントロールは私がする。
そんな私が、本気で恋をしてしまったのは、
何を考えているかわからない、年上の彼。
彼はいつも自然体で、私の自信なんてあっさり崩してくる。
LINEの返信が遅くても動じない。
会いたいと言っても、仕事を理由に断ることもある。
なのに、時々、すごく優しくなる。
私だけを見ているような目で、そっと手を握るその瞬間に――
私はもう、勝てなくなっていた。
「私たちって、どういう関係?」
一度だけ、勇気を出して聞いたことがあった。
彼は笑って言った。
「楽しい時間を一緒に過ごしてる。…それじゃダメ?」
その夜、私は彼の前で笑顔を浮かべながら、
心の中で“自分らしさ”が崩れていくのを感じていた。
「うん、私も楽しい」
強がる言葉が、喉を焼いた。
本当は、もっとちゃんと愛されたい。
ちゃんと、「恋人」として、名前をつけてほしい。
でも、そんなことを言ったら、めんどくさい女って思われるかもしれない。
だから私は、今日も「平気なふり」で彼に会い、
そして夜になると、涙をタオルで押さえながらベッドに沈む。
その夜、SNSの広告で見かけた「恋愛・相手の本音・未来」の文字。
何かに縋るように《電話占いココナラ》のページを開いていた。
先生の声は、想像以上に優しくて、
私の強がりをすぐに見抜いた。
「あなたは、自分の価値を信じたい人。でも、本当はすごく繊細で、愛されたい人ですね」
私は、何も言えなかった。
ただ、静かに泣いた。
先生は続けた。
「あなたの“誇り”は、とても美しいものです。
でも、誇りを守るために“本音”を殺してしまっては、恋が泣いてしまいますよ」
通話が終わったあと、私はゆっくりと深呼吸をした。
私、強くある必要なんて、なかったんだ。
好きなら、好きと伝えていい。
不安なら、不安だと言っていい。
それが本当の“しし座の愛”なのだと、やっと知った気がした。
次に彼と会う日、私は決めている。
もう、笑ってごまかしたりしない。
心の奥にしまったままの本音を、少しずつでも言葉にしてみようって。
強さも弱さも含めて、
これが、私の“恋”なのだから。
💬 強く見せてしまうあなたへ。
しし座のあなたの愛は、いつも真剣で、まっすぐです。
でも、強さの裏にある「不安」や「涙」も、大切なあなたの一部です。
強くあることよりも、大切なのは“自分の心を裏切らないこと”。
あなたの愛が報われる恋は、きっとあります。