1章:「好きなのに、うまくいかない」があるなんて知らなかった
恋愛って、好きだったらうまくいくもんだと、
ずっと思ってた。
“好き”の熱量がすべてを乗り越えてくれるって、
少女漫画も恋愛ドラマも、そう教えてくれたから。
だけど現実は、ぜんぜん違った。
好きなのに、ケンカばかり。
好きなのに、価値観が合わない。
好きなのに、一緒にいると疲れてしまう。
最初は「まだお互いをわかってないから」って思ってたけど、
だんだんと、「もしかして、この人とは合わないのかも」と感じ始めた。
でも、好きなのに。
“好き”だけじゃどうにもならない現実に、
私は戸惑い続けた。
2章:「一緒にいる」には、性格だけじゃなく“生活”の相性も必要だった
朝型の私と、夜型の彼。
貯金が好きな私と、今を楽しむ彼。
連絡はマメに欲しい私と、必要最低限でいい彼。
どれも“悪いこと”じゃないのに、
暮らしのリズム、言葉の温度、価値観のずれが、
少しずつ、小さなストレスになっていく。
“好き”という気持ちは確かにあっても、
日々の生活の中で「なんで?」が積み重なって、
ある日、「もう無理かも」に変わる。
「好き」って、もっとふわっとしてて、
なんでも許せる魔法みたいなものだと思ってたけど、
現実には魔法の期限がある。
3章:「感情」と「選択」は別物だと知った瞬間
別れを決めたときも、私は彼を嫌いになったわけじゃなかった。
今でも彼のことを思い出すと、
あの笑顔や、一緒に笑った夜の記憶がよみがえる。
でも、あのまま一緒にいても、
どちらかが我慢し続ける関係になっていたはずだ。
きっと、どちらかが“自分らしさ”を少しずつ手放していくことになってた。
好きだから、一緒にいたい。
でも、好きでも、一緒にいられない。
それを初めて受け入れたとき、
私は大人になったのかもしれない。
感情と選択は、必ずしも一致しない。
どちらも本当でも、同じ未来を選べないことがある。
4章:「本当に大切にできる相手」って、誰?
好きになった人すべてと、
一緒に暮らせるわけじゃない。
理屈じゃない“好き”と、
日々を共にできる“安心感”は、別のものだった。
「楽しい」「ドキドキする」「惹かれる」
それは“恋”の入り口としては十分だけど、
“生活”を築くには、もっと地味で静かな信頼が必要だった。
・意見が違っても、冷静に話せる
・予定をすり合わせるのが苦じゃない
・沈黙も心地いい
そんな日常のなかで、「あ、一緒にいられるな」と思える瞬間が、
本当の意味で“パートナー”なんじゃないかと思うようになった。
5章:「好き」は、ゴールじゃなく、スタートだった
恋に落ちるのは、一瞬。
だけど、そこから“続けていく”には、
日々の積み重ねと、何より“相性”が必要だった。
私はずっと、
「好きな人=一緒にいたい人」だと思っていたけれど、
今は少し違う考え方をしている。
「好きな気持ちがある」ことと、
「一緒にいられる関係を築ける」ことは、別。
どちらかが欠けても、続けるのは難しい。
どちらかに偏っても、物足りなくなる。
だからこそ、“好き”に浮かれすぎず、
“ちゃんと一緒にいられるか”を見つめるようになった。
エピローグ:愛しても、愛し合えない現実を受け入れる強さ
「どうしてうまくいかなかったの?」
よく聞かれるけれど、その答えは簡単じゃない。
ただひとつ言えるのは、
“好き”は必要だけど、それだけでは足りなかった。
愛してた。
だけど、愛し合い方が違った。
そういうことって、きっとある。
それは誰のせいでもなくて、
ただ“違った”というだけ。
“好きな人と一緒にいられない”という経験は、
心に小さな傷を残すけれど、
その傷が、次の恋で大切なことを教えてくれる。
私はまた、恋をするだろう。
でも次は、
「好き」だけじゃなく、「一緒にいられる人」を選びたい。
そしてそのとき、
今度こそ、ふたりで“続けていける関係”を築いていきたいと思う。