ひとりの夜より、誰かと一緒にいるのに感じる孤独のほうが、よっぽどつらい。
部屋には彼の気配がある。
スマホには“彼氏”というラベルがついていて、
SNSには「幸せなふたり」らしい写真もある。
だけど、心のなかは妙に静かで、
会話も少なくなって、笑い声が消えて、
いつからか一緒にいるのに、ずっとひとりでいるような気がしてきた。
「寂しい」と伝えても、彼はうまく笑ってごまかす。
忙しいと言って、会う時間はどんどん減っていく。
「好きだよ」って言葉はあるけれど、
その目にはもう、私が映ってない気がする。
恋人がいるのに孤独って、説明が難しい。
周りから見れば「幸せそう」に見えてしまうから、
弱音を吐ける場所もないし、
「贅沢な悩みだよね」とか、「別れたら?」なんて、
簡単に言われてしまいそうで、ますます言えなくなる。
でも本当は、
“誰かがそばにいるのに心が満たされない”って、
すごく切ない。
ひとりでいることを選ぶ孤独は、ある意味で自由だ。
でも、“ふたりのはずなのに、ひとりのように感じる時間”は、
相手の存在そのものが「埋まらないもの」になっていく。
これ以上、何をどうしたら心がつながるのかもわからない。
恋人がいるのに孤独——
それは、愛情のズレに気づきながらも、
まだ「期待」してしまっている状態なのかもしれない。
もっと話したい。
もっとわかり合いたい。
もっと大事にされたい。
でも、相手の気持ちはもうそこにはないかもしれないと、
どこかで悟っていて、
それでもまだ、終わらせる勇気はない。
それが“恋人のいる孤独”の正体だと思う。
この孤独が厄介なのは、
「愛されていないかもしれない自分」に、
毎日少しずつ慣れていってしまうこと。
期待することをやめて、
会いたいときに我慢して、
泣きたい夜に黙って背を向けて、
「これが大人の恋愛なんだ」と言い聞かせて。
でも、それって本当に“成熟”なんだろうか?
私は思う。
恋人がいるなら、
孤独を埋める存在であってほしい。
その人といることで、心の温度が上がって、
「大丈夫」って思えるような、
そんな関係であってほしい。
会えない時間があってもいい。
話せない日が続いてもいい。
でも、心だけはいつも“ここにある”って、
感じさせてくれる人と、私は一緒にいたい。
恋人がいても孤独を感じるとき、
それはただの“会ってない”とか“すれ違ってる”って問題じゃない。
愛し方や関係性の“根っこ”が、もう合っていない可能性だってある。
その孤独にフタをしないで。
「私は今、ひとりだと感じてる」と、
自分に正直になってほしい。
恋人がいることより、
心がちゃんとつながっていることのほうが、ずっと大事。
そして、もしそれがもう難しいなら、
その恋にしがみつかなくてもいい。
あなたの隣にいて、あなたの孤独を減らしてくれる人は、
きっと、どこかにいるから。
“誰かといるのに孤独”を、当たり前にしないで。
本当に愛されている恋は、
ひとりの夜でも、ちゃんと心が温かい。