日曜の昼下がり、ソファに寝転ぶ彼の隣で、私はぼんやりとした考えにふけっていた。
「このままずっと、一緒にいるのかな――」と。
そのときの私は、それを“安心感”と捉えようとしていた。
将来のことを想像するなんて、きっと“愛が深まってる証拠”だと。
だけど本音は少し違った。
どこか冷めた自分が心の片隅にいて、
“このまま”が続くことに、ちょっとした退屈と不安を感じていた。
付き合いたての頃は、毎日が新鮮だった。
彼の好きなものを知るたびに、ときめいたし、
予定が合わなくて会えない日には、LINEを何度も見返した。
でも、半年、1年、3年……
時間が経つにつれ、私たちは「ふたりでいること」に慣れてしまった。
サプライズは減り、会話も「どっちが洗濯する?」が主軸になり、
キスのタイミングすら、だいたい想像できる。
安定は、愛の証。
でも同時に、感情の動きが止まったサインでもある。
「このままずっと一緒にいるのかな」
その言葉の裏には、
「でも、それでいいのかな?」
というもう一つの問いが隠れている。
ある日ふと思い出したのは、
彼と出会った頃の自分。
あの頃は、彼に合わせることで精一杯だったけど、
どこかで「自分らしさ」を大切にしようとしていた。
今はどうだろう。
彼が観たい映画に合わせ、彼の食べたい店に行き、
気づけば、私の“好き”や“楽しい”は、彼のオプションみたいになっていた。
そうして、「このまま」の未来を想像してみた。
来年、再来年、その先も、彼のとなりで笑っている自分。
でも、その顔があまり幸せそうに見えなかった。
むしろ、「違う景色も見たい」とどこかで思っているような、そんな顔。
恋愛って、不思議だ。
別れたいわけじゃない。
嫌いになったわけでもない。
でも、“続ける理由”が「とくにないから」になってくると、
それはもう、心が止まりかけている合図かもしれない。
「別れたい」と思う前に、
「このままでいいのかな」と自問する瞬間がある。
それが最初の予兆。
小さなほころびは、日々の会話の隙間に潜んでいる。
“ときめき”がなくなるのは仕方ないけど、
“ときめきたい”と思わなくなるのは、ちょっと危険。
そしてそれは、決してわがままじゃない。
人は変わる。
恋の形も、求めるものも、時間とともに変化する。
「このままずっと」なんて、幻想かもしれない。
本当は、「この先も変わりながら一緒にいけるか」が大事なのだ。
私は彼と、変化できていただろうか?
それとも、「安心」という名のもとに、
変わることをやめてしまっていたのかもしれない。
もし今、あなたがふと「このままでいいのかな」と思ったなら――
それは、何かが静かにズレ始めているサイン。
そのサインを、見逃さないで。
別れを選ばなくてもいい。
でも、「変わりたい」という気持ちに素直になることは、
自分を裏切らない選択だ。
そして、もしその“変わりたい”に彼がついてこられないなら、
その恋は、もう“役目”を終えたのかもしれない。
「ずっと一緒にいる未来」よりも、
「自分がちゃんと笑っていられる未来」を選んでほしい。
恋は、“続けること”が目的じゃない。
“幸せであること”が、本質なのだから。