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第1話『リースリングと、甘すぎた恋のあとで』

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― ほんのり甘くて、あとから来る酸味。それはまるで、あの恋のようだった。


彼と別れた夜、私はひとりでワインを開けた。

泣きながらとか、怒りながらではなく、ただ静かに。
たとえば、今日がいつも通り終わったことを確認するように、
まるで、日常のなかに彼がいなくなったことを自分に納得させるように。

冷蔵庫の奥で出番を待っていた、リースリング。
その白ワインは、ほんのり甘くて、でもあとからやってくる酸味が爽やかで、
まるで彼のようだった。

彼は優しかった。
いつも私の好みに合わせてくれたし、会話のテンポも、距離感も、居心地がよかった。
でも、たぶん私たちは「やさしすぎた」んだと思う。

言いたいことも、我慢してしまって。
不安も、本音も、あえて笑ってごまかした。
甘いまま続けられると思っていた。でも、甘さだけでは恋は続かない。

ふたりで過ごした最後の週末、彼は言った。

「優しすぎるって、きっと、残酷なことなんだね」

私は、何も言えなかった。
その夜を最後に、私たちは連絡を取らなくなった。


グラスに注いだリースリングは、黄金色の光をたたえていた。
グラスを傾けるたびに、白桃やアカシアのような香りがふわりと立ちのぼる。

口に含むと、最初は優しい甘さ。
けれどあとから、レモンのような凛とした酸味が舌をさらっていった。

——まるで、彼との関係そのものみたい。

やさしいだけじゃ、だめだった。
甘いだけじゃ、長続きしなかった。
でも、その酸味があったからこそ、私は本当の意味で「別れ」を受け入れられた気がした。


ワインって、不思議だ。
口にした瞬間、香りと味わいが、記憶を連れてくる。

楽しかった時間も、別れ際の空気も、ぜんぶ。
そして、その全部にそっと蓋をするように、
この1杯が、私を少しだけやさしく包んでくれる。

恋の終わりに飲むワインが、
こんなにも優しくて、沁みるものだなんて、知らなかった。


今夜、あなたの心にもそっと寄り添う1本

アルザス地方のリースリング(やや甘口・白ワイン)

  • 【産地】フランス・アルザス
  • 【品種】リースリング
  • 【香り】白桃、ライム、アカシア、ミネラル
  • 【味わい】やや甘口/フルーティーな入り口から爽やかな酸へ
  • 【相性】サラダ、スモークサーモン、カマンベールチーズなどとよく合います

やわらかな果実味と繊細な酸味のバランスが絶妙な、
“恋の余韻”にそっと寄り添う、ワイン初心者にもおすすめの白。


自分に優しくなれる夜に

LOIN(ワインショップ ロワン)では、初心者でも選びやすいよう、
「香り」や「感情」に寄り添ったセレクトがされています。

このワインに、少しでも惹かれたなら、
それはきっと、あなたの心が欲している1杯です。

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