PR

第4話『バローロと、決別の夜に』

恋愛コラム 恋愛

― 愛していた。だけど、もう戻らない。


10年付き合った人と別れた夜、
私はひとりで高層ビルの最上階にあるワインバーにいた。

ふたりで何度も来た場所。
でも今日は、私ひとり。

席に着くと、ソムリエが「何か、お好みは?」と尋ねた。
私は答えた。「重くて、骨のある赤をください」と。

彼が運んできたのは、バローロ。

“イタリアワインの王様”と呼ばれるその赤は、
まさに“決断の夜”にふさわしい一本だった。


グラスを傾けると、濃いガーネット色が揺れる。
ブラックチェリー、ドライローズ、タール、スパイス。
香りが複雑で、奥行きがあって、心にずしんと響いた。

ひと口飲むと、しっかりとした渋みと酸味。
だけど、飲み進めるほどに、味わいが開いていく。

「これまでの時間も、私にとっては必要だった」
そんな風に思わせてくれる味だった。


彼との10年は、決して無駄じゃなかった。
楽しいことも、悲しいこともあった。

でも――
気づいていた。
「これ以上、進まない」と。

彼は変わらなかった。
私も、変わってしまった。

愛はあった。今でもどこかに残っている。
でも、それではもう足りなかった。


バローロは、寝かせてこそ本領を発揮するワインだ。
最低でも3年、時に10年、熟成を重ねてからリリースされる。

強くて、渋くて、簡単には開かない。
けれど、待てば待つほど、美しさと深みを持つ。

まるで、人生のある一時期の私たちのようだった。


グラスの底に残った赤を見つめながら、
私は最後のひと口をゆっくりと飲み干した。

「大丈夫、私は前に進む」
誰に言うでもないその言葉が、
今夜いちばんの祝杯だった。


“終わりを自分で選んだ夜に”

バローロ(力強く高貴な赤ワイン)

  • 【産地】イタリア・ピエモンテ州/ネッビオーロ種100%
  • 【香り】ブラックチェリー、ドライローズ、スミレ、タール、スパイス、革
  • 【味わい】しっかりとした渋みと酸/熟成により複雑な余韻が広がる
  • 【相性】牛肉の赤ワイン煮込み、ジビエ、熟成チーズ、ラザニア

バローロは、「強さ」を試される夜にふさわしいワイン。
決断のあとに、じんわりと沁みてくる“肯定感”をくれる一杯です。


終わりの先に、希望を置くために

ワインショップ LOIN(ロワン)では、
“自分にご褒美をあげるような赤”との出会いをご用意しています。

重たい決断をした夜に、
背中をそっと押してくれるワインは、きっとここにあります。

バローロを探す(ワインショップ LOIN)

タイトルとURLをコピーしました