今年の春夏、ビューティートレンドは“ナチュラル回帰”。
ツヤ肌、ノーライン、薄眉、うるっとした唇。
作り込みすぎない顔が「今っぽい」とされる時代。
けれど、女たちは知っている。
“ナチュラル”ほど、手がかかることを。
コンシーラーでクマを隠して、
ハイライトでツヤを足して、
ノーファンデに見せるための下地を丁寧に重ねて……
そこには、「ナチュラルに見せるための努力」がある。
ふと思ったの。
それってまるで、私たちの恋愛みたいじゃない?
「無理してないよ」「自然体でいたい」なんて言いながら、
実は既読のタイミングを計ったり、
“可愛すぎない”写真を選んだり、
時には好きでもない趣味に合わせてみたり──
私たちは“ちょうどよく自然な女”を、
演じてしまうプロフェッショナル。
でも、その“ナチュラル”って、誰のためなんだろう。
私の友人・ミカは、付き合い始めた彼に「飾らないところが好き」って言われて、
毎回すっぴん風メイクを完璧に仕上げていた。
ある日うっかり素顔を見せたら、
「印象違うね」と言われて、彼女はそれを笑い飛ばしながらも、
どこか傷ついてた。
そう、ナチュラルって、実は勇気がいる。
無理しないって、簡単そうに見えて、
“嫌われたくない”を乗り越える覚悟がいる。
本音を言うことも、
ダメな自分を見せることも、
気分が乗らない日は「会いたくない」と言うことも。
だけど、その無理しなさにこそ、
本当の恋の温度が宿るんじゃないかと思うの。
恋は、メイクじゃない。
落ちてもいいし、ヨレてもいいし、
たまには塗りすぎて濃くなっちゃう日があったっていい。
大事なのは、
「どう見られたいか」じゃなくて、
「どうありたいか」。
今年の私の恋のテーマは、“無理しない”。
でもそれは、“手抜きする”って意味じゃない。
ちゃんと自分の心に手をかけて、
心地よい距離感で人と向き合うこと。
恋のナチュラルメイクとは、
素肌の上に、薄くやさしさを重ねるような関係。
見せすぎないけど、隠しすぎない。
決めすぎないけど、気を抜かない。
そんな、ちょうどいい“ふたり”を目指したい。
自分の素顔を、相手に見せられる恋。
それが、きっといちばん長く続く恋なんだと思う。