PR

同棲解消と新しいスタート

恋愛コラム 恋愛

「もし私たちが結婚したら、どうなるんだろう?」

そんな質問を、何度も彼に投げかけたことがある。
答えはいつも曖昧で、やっぱり「まだ早いんじゃない?」って返ってくる。

でも、実際はもう、心のどこかで答えを出していた気がする。
私たちの関係は、“愛してる”という言葉と、“一緒にいたい”という気持ちに支えられているだけで、
それ以上のものは、少しずつ薄れていっていた。

結婚も同棲も、ただの“形”にすぎない。
でも、今思うと、それを理解するには、少し時間がかかった。
そして、その答えを出すきっかけになったのが、同棲解消という決断だった。


同棲は、最初はまるで夢のようだった。
お互いの生活がひとつになって、毎日が特別な日常に変わる。
朝、彼が起きる前にコーヒーを淹れて、昼間は好きな映画を観て、
夜は並んでベッドに入る。そんな日々が、最初は心地よかった。

でも、だんだんと“心地よさ”が“居心地の悪さ”に変わっていった。
小さなことが積もり積もって、私たちの関係は、まるでパズルのピースがずれていくように
合わなくなっていった。

彼が遅く帰ってきて、私はもう眠っている。
夜中にスマホでゲームをしている彼に、私は苛立ちを覚える。
それだけじゃなく、彼が無意識に私のスペースを奪っていくことにも、少しずつ疲れていった。

もちろん、喧嘩するほどでもないし、
「これくらい、みんなあることだよね」って思っていた。
でも、少しずつ、心の中にひとりでいる感覚が広がっていくのを感じていた。


私たちの関係が変わっていったのは、そんな小さな積み重ねが原因だったのかもしれない。
そして、その変化が明確になったのは、ある晩、彼と向き合った時だった。

「私たち、別々に暮らしたほうがいいのかもしれない」
その一言が、私たちの未来を決定づけた。

不思議だった。
解消することが恐ろしいとも思ったけれど、同時に心の中で、
「やっとそのときが来たんだ」と感じていた自分もいた。

彼は驚いた顔をしたけれど、それでも静かに頷いてくれた。
そして、私たちはお互いに新しいスタートを切ることにした。


同棲を解消することは、まるで「また一歩、前に進むための試練」みたいなものだった。
同じ屋根の下にいないことに、最初はとても不安を感じたけれど、
その不安の中で、私は次第に自分を取り戻していった。

ひとりで過ごす夜の静けさに、初めは戸惑ったけれど、
その静けさの中で、自分の心の声をしっかり聞くことができるようになった。

好きな音楽を、好きなだけ大音量で流しても、
不安になることはなかった。
ひとりで出かけて、思いっきり自由に過ごすことができる。
それが、何よりも大切だった。

そして、自分と向き合う時間が、私をもっと強くしてくれた。
同棲していた頃のように、毎日を誰かと共有することの幸せも、
もちろん感じていたけれど、今は自分の時間の大切さがよくわかる。


同棲解消から数ヶ月。
私は新しい生活に慣れてきた。それは新しい部屋、新しい日常、そして新しい私。

彼とは時々会うけれど、今はお互いの距離感が心地よい。
前のように「毎日一緒にいたい」と思わなくても、
大切な人であることには変わりない。

そして、最も大きな変化は、“結婚”というものへのプレッシャーがなくなったことだった。
今は、結婚のことを深く考える前に、自分が本当に心地よい形で生きているかを考えるようになった。

「同棲解消」という決断は、決して楽なものではなかったけれど、
そのおかげで私は、少しだけ自由になった。
もっと自分を大切にし、何よりも“自分に正直”でいられるようになった。

結婚も恋愛も、ただ“幸せ”を追い求めるためのものではなくて、
自分を見失わずに、相手とともに歩めるかどうかが一番大切なんだと気づいた。

今は、私は新しいスタートを切ったばかり。
彼もきっと、彼なりの道を歩んでいるはず。

もし再び、同じ道を歩くことがあったとしても、
そのときは、お互いが一番良いタイミングで再スタートを切れるように
お互いを尊重して、手を取り合えるような関係になれると信じている。

同棲解消は、単なる“終わり”ではなく、新しい始まりにすぎない。
それは、私自身の人生のリセットボタンみたいなものだった。

タイトルとURLをコピーしました