「理想の恋愛」を信じて疑わなかった時代があった。
映画の中のような、美しくて、ドラマチックで、まるで魔法のように始まる恋愛。
初めて会った瞬間に、運命を感じ、心が震え、あっという間にお互いが引き寄せられる──そんなストーリーに、私は夢を抱いていた。
でも現実の恋愛は、そんな単純なものではない。
最初はどんなに素敵に見えた相手でも、時間が経つうちに、その“リアル”が少しずつ顔を出してくる。
そして、私たちはそのリアルと向き合うことになり、恋愛観がどんどん変わっていった。
恋愛の“リアル”が見えてきた瞬間、心の中で静かに変わり始めるものがある。
最初は「完璧な相手」を求めていた。でも、だんだんと気づくのだ。
完璧な相手なんて、いない。
完璧に見える人ほど、内面には気づかれないような悩みや欠点を抱えている。
最初に感じたドキドキや胸の高鳴りが、時間とともに薄れていくとき、
私は思う。「もしかして、恋愛ってこんなものだったのか？」
最初は期待しすぎていたのかもしれない、って。
リアルな恋愛には、ドラマのような「素晴らしい瞬間」もあれば、
時に、日常の雑多な出来事に振り回される瞬間もある。
どんなに愛し合っていても、結婚の話になれば、現実的な問題に直面する。
お互いの価値観、仕事、金銭感覚、将来の夢──それらが一つ一つ絡み合って、恋愛というのはただの「感情」だけでは乗り越えられないことがある。
最初は、あんなに楽しかったデートが、いつの間にか「疲れる約束」になってしまう。
愛しているからこそ、些細なことで喧嘩をすることだってある。
気づかないうちに、相手の「欠点」に目が行き、最初の頃のような熱い想いが薄れていくのが、恋愛のリアル。
それでも、そのリアルを受け入れる勇気が、私たちを一段と成長させてくれる。
最初は、恋愛の「美しい部分」ばかりに憧れがちだけど、
その先にあるのは、決して完璧ではない「現実」だ。
でも、この「現実」が、実は一番大切だと思うようになった。
相手の完璧な部分ではなく、不完全で、人間らしい部分に心が動かされる瞬間がある。
お互いの苦しい時期を乗り越えてきたからこそ、より深い絆が生まれる。
その“リアル”に向き合ったからこそ、私は恋愛観が変わった。
今、私が大切にしているのは、「理想の恋愛」ではなく、「現実の恋愛」だ。
どんなに小さなことでも、一緒に悩んで、支え合って、
共に歩んでいくことが、真の愛を育むものだと気づいたから。
恋愛は、決して完璧ではない。
でもその不完全さが、私たちをより強く、優しくしてくれる。
理想と現実のギャップを受け入れ、本当の愛を育むためには、時に厳しい現実と向き合わなくてはいけない。
そして私は思う。
恋愛の“リアル”が見えてきたからこそ、私たちは真の幸せを掴むことができる。
理想を追い求めることも大切だけど、現実を大切にしてこそ、恋愛は本当に深く、美しいものになるのだ。
それが、私が今、恋愛に求める“リアル”の本質だ。
