蓮来

たまたま開いたInstagramで、学生時代の友人が指輪をした左手を嬉しそうに掲げていた。「プロポーズされました♡」の文字と、バラの花束、夜景のレストラン。おめでたいなぁ、幸せそうだなぁ。そう思った“フリ”をして、私は無言でアプリを閉じた。...

誰かが祝福してくれたわけでも、拍手が鳴り響いたわけでもない。でもその日、私は鏡の中の自分に、心の中で小さなトロフィーを手渡した。「おめでとう。あなたが、今日の主役だったよ」と。私たちは、いつから人生を“評価されるもの”だと思い込んでしまった...

返信が早い男性って、一般的には“好意の証拠”と言われるけど、正直なところ、私はどこか身構えてしまう。「そんなに急いで返事しなきゃいけないの？」って。返信が早いと、急かされてる気がしたり、距離感が近すぎて息苦しかったりする。逆に、ゆっくり返信...

恋愛において「好きになったら負け」なんて言葉が、まるで戦場のルールみたいに当たり前になってしまった現代。私たちはいつから、「好き＝弱さ」と刷り込まれてしまったのだろう？SNSの“既読スルー”や、マッチングアプリの“いいね”数競争。恋愛がゲー...

私たちの恋愛は、いつの間にかスマホ画面の中で繰り広げられるドラマに翻弄されている。SNSで彼の「いいね！」の数やコメント、投稿の頻度をチェックして、知らず知らずのうちに不安のループに落ちていく。「なぜ返信が遅いの？」「あの子と写っている写真...

恋愛の悩みのなかで、“察してほしいのに、伝わらない”というジレンマは、なかなか消えない永遠のテーマだ。「言わなくてもわかってほしい」――女性が密かに願うこの気持ちは、一方で男性にはまったく伝わらず、すれ違いの原因になることが多い。なぜ「察し...

日曜の昼下がり、ソファに寝転ぶ彼の隣で、私はぼんやりとした考えにふけっていた。「このままずっと、一緒にいるのかな――」と。そのときの私は、それを“安心感”と捉えようとしていた。将来のことを想像するなんて、きっと“愛が深まってる証拠”だと。だ...

「付き合いたての頃って、何話しても楽しかったのにね」ある日ぽろっと、友人がそんなことを言った。わかる。わかりすぎて、グラスのワインが少し苦く感じた。会話が途切れるのが怖かった、あの頃。沈黙すらも“間”ではなく、“間違い”のように感じて、必死...

ひとりの夜より、誰かと一緒にいるのに感じる孤独のほうが、よっぽどつらい。部屋には彼の気配がある。スマホには“彼氏”というラベルがついていて、SNSには「幸せなふたり」らしい写真もある。だけど、心のなかは妙に静かで、会話も少なくなって、笑い声...

「付き合ってるの？」って聞かれたとき、ふと、口ごもってしまった。付き合ってる…つもり、ではある。でも、ちゃんと「付き合おう」って言われたわけじゃない。デートもしてるし、手もつないだし、夜を一緒に過ごすこともある。でも、それが“彼氏”と“彼女...