「……ごめん、やっぱり忘れられない」
深夜0時を過ぎたころ。
真理(まり)は震える指先で、元彼にLINEを送った。
“やっぱり、あなたのことが忘れられません。もう一度やり直したい”
1時間、2時間、そして翌日になっても──通知は鳴らない。
既読はついた。
それなのに、彼からの返事はこなかった。
「どうして…読んでくれたのに、なにも言ってくれないの…?」
喉の奥が締めつけられ、スマホを握る手に力が入る。
沈黙が、いちばん心を傷つける
返信がこないLINEを何度も見返す。
「やっぱり送らなきゃよかった」と思ったり、「いや、想いを伝えたのは間違ってない」と言い聞かせたり。
返事がない、というたったそれだけのことで、心はジェットコースターのように揺れ動く。
──でも、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「彼にフラれたからじゃない。何も言われないまま、取り残された気持ちがつらいんだ」
沈黙は、拒絶よりもつらい。
それに、彼が何を考えているのか、見えないことがこんなにも不安を煽るなんて。
“彼の気持ち”を確かめたくて、私は占いにすがった
「今、彼はどう思っているんだろう?」
「もう連絡するつもりはないの?」
そんな気持ちで夜を過ごすうちに、真理はスマホで“占い師・橘あやめ先生”の口コミを見つけた。
「元彼の気持ちを霊視で視てくれる」「復縁のタイミングがわかる」
その言葉に導かれるように、電話をかけた。
「彼は、まだ“整理できていない”だけなんです」
橘先生の声は、落ち着いていてあたたかかった。
「彼は、あなたのLINEを何度も読み返していますよ。でも、自分の気持ちをどう言葉にすればいいのかわからなくて、止まっているだけなんです」
「え…?でも、もう気持ちはないんじゃ…」
「いえ、気持ちはまだ残っています。
でも“またうまくいかなくなったら”という恐れが強くて、心の中でまだ答えを出せずにいるんですね」
真理は、初めて彼の気持ちの“奥”に触れたような気がした。
“無視されてる”んじゃない、“揺れてる”んだ
それまでは、「もう嫌われたんだ」「忘れられたんだ」と思っていた。
でも、彼もまた“葛藤の中”にいる。
そうわかると、不思議と少しだけ、心が軽くなった。
「このまま何も言わずに終わるなんて、いやだったんです」
「その気持ち、とてもよくわかります。でも、彼が動けるようになるまで、“押す”のではなく“待つこと”が今は必要ですよ」
「待つこと」が苦手だった真理にとって、それは難しいことだった。
でも、ただ返事を求めて焦っていた自分にとって、その言葉は救いでもあった。
今、わたしができることは──「整えること」
橘先生のアドバイスで、真理は毎日を少しずつ整えるようになった。
・メイクを変えてみた
・今まで読まなかった本を読んだ
・友達と旅行の計画を立てた
「彼のことを忘れよう」と無理に思うのではなく、「自分の時間を生きること」に意識を向けてみた。
すると──1週間後。
久しぶりに、スマホに彼の名前が表示された。

「今さらだけど、あのLINEありがとう」
彼からのLINEには、短くこう書かれていた。
“返事が遅くなってごめん。ちゃんと読んでたよ。いろいろ考えてた”
たった一言で、胸の奥があたたかくなった。
「この人、今もわたしのことを思ってくれてたんだ」
たとえすぐに復縁できなくても、
彼との絆が切れたわけじゃないとわかるだけで、世界が少し優しく見えた。
「返事がこない」という沈黙のなかで
- 彼の“沈黙”は拒絶ではないかもしれない
- 「今どう思っているのか」彼の心の声を知ることが、不安を和らげてくれる
- 占いを通じて“心の温度”を感じることで、次に踏み出せる準備ができる
あなたが送ったLINEには、きっと“想い”が詰まっていた。
そして彼の沈黙にも、“迷い”や“戸惑い”という感情がある。
「返事がこない」の向こう側には、まだ終わっていない物語がある。
──その続きを紡ぐのは、焦らず待ち、信じてみようとするあなたの心かもしれません。
