「私のこと、見てないよね?」
もう何回目だろう──彼のSNSを開くのは。
いいねの数、誰にコメントしてるか、誰とタグ付けしてるか。
彼の生活の端っこに自分がいないことに、気づきたくなかった。
「私、いつも彼のことばっかり考えてる」
朝、通勤電車の中で。
昼休み、スマホ片手に。
夜、寝る前のLINEチェック。
いつも彼が中心にいて、私はずっと“好き”を送り続けてる。
だけど、彼からは……何も返ってこない。
「もうやめよう」と思っても、心が止まらない
友達には「そんなに連絡来ないのに、まだ好きなの?」って言われる。
「都合よくされてるだけだよ」って。
でも、そんなに簡単に気持ちを切り替えられるなら、
こんなに苦しんでない。
好きになったのは、彼のちょっとした優しさだった。
落ち込んでた日に、ぽんとくれた言葉。
さりげなく守ってくれた瞬間。
「私にも、可能性があるのかも」って思った。
それなのに、彼からのLINEは素っ気なくて。
会おうって言っても「今忙しい」と断られる。
こっちから誘わなければ、連絡さえ来ない。
「なんで私ばっかり、好きなんだろう……?」
気づけば、画面の前で泣いていた。
片想いは「心を捧げること」じゃない
その夜、眠れずにいた私は、
何気なく電話占いのアプリを開いた。
“片想いの相手の気持ちを深読み鑑定”という占い師──透羽(とうわ)先生が目に留まった。
優しい声で話し始めた透羽先生に、
今まで誰にも言えなかった気持ちをぶつけた。
「私ばっかり好きで……すごく疲れました」
「でも諦められなくて。どうしたらいいかわかりません」
透羽先生は静かに頷いて、カードを展開しながらこう言った。
「あなたは今、彼の“本当の気持ち”じゃなく、
“反応のない現実”だけを見て、傷ついています。
でもそれは、“彼の気持ち”がないからじゃありません」
「え……?」
「彼は、あなたに興味がないわけではない。
ただ、今の彼は“誰かと真剣に向き合うモード”に入っていない。
あなたの気持ちの熱量に、まだ追いついていないんです」
「好きな人を追う」のではなく、「愛される自分になる」こと
「“私ばっかり好き”っていう苦しさは、
“与えた分、返してほしい”という想いから生まれるもの。
でもそれって、恋愛としては自然な気持ちなんです」
「でも、それが見返りを求めてるみたいで、
“重たい”って思われたくなくて……」
「大丈夫。愛されたいと思うことは、悪くないこと。
ただ、あなた自身が“愛される価値がある”と信じていないと、
その願いは届きにくいんです」
透羽先生の言葉に、胸の奥がじんわり熱くなった。
「彼に振り向いてもらうために、頑張りすぎていませんか?」
「あなたの心がすり減るほど“好き”になる恋は、長続きしない。
まずは、あなたが自分を大切にしてあげること。
そこから、愛は育ち始めますよ」
気持ちを取り戻した朝に
占いのあと、不思議と涙は出なかった。
どこか、心がふっと軽くなったから。
私は、「彼が振り向いてくれない」ことばかりに目を向けていた。
でもそれは、自分の“価値”を彼に決めてもらおうとしていたからだった。
「私って、けっこう頑張ってたな」
「本当に好きだったし、一生懸命だった」
そう思えた瞬間、初めて“片想いしてる自分”を認めてあげられた気がした。

恋は、報われるかどうかじゃない──心を疲れさせない片想いのコツ
・「好きでいること」が苦しくなったら、立ち止まってみて
・与えすぎているときこそ、自分を大事にする時間が必要
・彼の気持ちに振り回されるのではなく、自分の気持ちを整える
・占いは、心の整理を助けてくれる「気持ちの地図」になる
恋をしていると、どうしても“相手の反応”に一喜一憂してしまう。
でも、そればかりに夢中になると、
自分の心が置き去りになってしまう。
「私ばかり好きなんじゃないか」
そう思ったときは、
“それだけ人を想える自分”に、ちょっとだけ誇りを持ってみて。
そして、疲れたら──ちゃんと休んでいい。
恋は「がんばる人」だけのものじゃなく、
「自分を愛せる人」から、自然と育っていくものだから。
