「好き」より「好きでいてもらう」ことが大事だった私
いつも「愛される」ことに必死だった。
相手の顔色を伺って、LINEの返信スピードを調整したり、
好みに合わせて服を選んだり、話題を変えたり。
好きな人の“理想の女性像”になろうと努力するのが、私の恋愛だった。
「すごいね」「かわいいね」「一緒にいて落ち着くよ」
そんな言葉をもらうたび、心の中でホッとする。
私って存在してていいんだ。
私って価値あるんだ。
でも、そんな安心感はいつも一瞬で、
次の瞬間にはまた「嫌われないようにしなきゃ」と不安に飲み込まれる。
彼の好みに合わせすぎて、自分を見失った3年間
大学時代に付き合った祐介は、すごく落ち着いていて、少し気難しい人だった。
彼の好みは「ナチュラルメイク」「清楚な服装」「大人っぽい雰囲気」。
私は本当はカラフルな服が好きで、赤リップをつけると気分が上がるタイプ。
でも彼といるときは、ベージュと白のコーディネートに、控えめなピンクリップ。
彼が「それ、似合うね」って褒めてくれるから、
私は「これが私らしさ」だと思い込もうとした。
でも、心のどこかでいつも“演じている”感覚があった。
「本当の私を見せたら、嫌われるかも」
そんな思いが、いつもどこかにあった。
別れとともに、ぽっかり空いた「空白」
3年付き合っていた祐介と別れたとき、
最初に感じたのは「寂しさ」よりも「自分の輪郭が見えない」という怖さだった。
どんな音楽が好きだったっけ?
どんな服を着てた?
何にワクワクしてた?
私、何が好きで、何が嫌いだったっけ?
彼に合わせることに夢中になりすぎて、
“私自身”がすっぽり抜け落ちてしまっていた。
「自分って誰だろう?」から始めた、小さな再出発
そんなとき、友人からすすめられたのが「ココナラ電話相談」。
半信半疑で電話をかけた先には、
あたたかく、でも芯のある声のカウンセラーがいた。
「自己肯定感って、“誰かに満たしてもらう”ものじゃないんですよ」
「自分で自分を認めてあげること。そこがスタートなんです」
私は泣いた。ぽろぽろと、止まらなかった。
そんな言葉、今まで誰にも言われたことがなかったから。

ひとりの時間が、少しずつ心を満たしていった
それから私は、“誰のためでもない自分”を取り戻す旅に出た。
好きな音楽をシャッフルして聴いた。
前に買って、クローゼットにしまい込んでいた赤いワンピースを着た。
カフェでひとり、日記を書く時間を大切にした。
最初はどこかぎこちなくて、不安もあったけど、
少しずつ「自分で自分を満たす」ことに心が慣れていった。
「好き」と思えるものが増えるたび、
まるで自分の中に小さな灯がともるようだった。
「この人となら、素の私でいられるかも」
そんなときに出会ったのが、現在の恋人・航平(こうへい)だった。
彼は、外見にも性格にもこだわらず、私が何を言っても、
「それいいね」「そういうの好きだよ」と、柔らかく受け止めてくれる人だった。
私が赤いリップをつけてきた日、彼は笑ってこう言った。
「うん、今日すごく楽しそうな顔してる。似合うとかより、その笑顔が好きだな」
泣きそうになるくらい、嬉しかった。
私の“演じていない部分”を、まるごと愛してくれた気がしたから。
自分軸で恋をする。それは、相手のせいにしない覚悟でもある
もちろん、彼との関係だって、完璧ではない。
時には意見が食い違ったり、不安になることもある。
でも、今の私は、自分の心とちゃんと向き合える。
「私はこう思う」「ここは譲れない」って、素直に言えるようになった。
それは、自己中になることじゃない。
“自分を大事にすること”と、“相手を尊重すること”を両立する姿勢だ。
自分軸で恋をするって、
「愛されたいから自分を偽る」のではなく、
「本音で関わることを恐れない」ことなんだと、今なら分かる。
愛されたいなら、まずは自分を愛してあげること
あの頃の私は、恋愛を“自己肯定感の薬”にしていた。
「誰かが私を認めてくれれば、それで安心」
「嫌われないように、完璧でいなきゃ」
でも、そんな恋はいつか限界がくる。
自分を偽るほど、どんどん心がすり減っていくから。
今、もしあなたが「誰かのため」にばかり頑張っているなら、
どうか一度、立ち止まってみてください。
あなたが「本当はこうしたい」と思うことに、
小さくてもいいから、耳を傾けてみてください。
あなたの“本音”から始まる恋を
恋愛は、誰かに“満たしてもらう”ものじゃない。
自分の心が整ったとき、
初めて「分かち合える関係」が築ける。
本音でいられる恋は、嘘がないぶん、楽。
無理しないから、長く続く。
演じないから、心地よい。
あなたがあなたでいられる恋を、どうか選んでください。
誰かに認められるためじゃなく、
自分を愛するために、恋をしてください。
