「誰かに必要とされたい」——それが私の恋の始まりだった
誰かに愛されたい。
誰かの“特別”でいたい。
「私がいないとダメなんだ」って思われたい。
そんな気持ちから、私はいつも恋愛を始めていた。
相手に必要とされていると感じたとき、ようやく安心できる。
その瞬間、私の存在価値がやっと見える気がした。
でもそれは、恋じゃなくて「自己肯定感の穴埋め」だったのだと、今なら分かる。
「頼られること」が嬉しくて、頑張りすぎてしまう私
陽介(ようすけ)と出会ったのは、私が27歳のとき。
彼は職場の後輩で、少し頼りなくて、人見知りなタイプだった。
「先輩、ちょっと相談いいですか…」
そんなふうに話しかけられるたび、私の中の“世話焼きスイッチ”が入る。
ごはんを作ってあげたり、悩みを聞いたり、仕事の愚痴に付き合ったり——
気づけば、私は彼の“何でも屋”になっていた。
でもそれが苦じゃなかった。
むしろ、「自分が役に立ってる」と思えることが、嬉しかった。
「彼の支えになれている」
「私がそばにいなきゃダメなんだ」
そう思えることが、私の心の支えだった。
自分のことが、どんどん見えなくなっていった
けれど、ある日気づいた。
彼は少しずつ、私に甘えるのが当たり前になっていた。
何かあるたびに「どうせ〇〇してくれるでしょ?」
「また俺が悪いんだよね」
そんなふうに、責任を私に押しつけるようになっていった。
それでも私は、彼を責めるどころか、「私がうまく支えられていないからだ」と思い込んでいた。
そして気づけば、自分の好きなことも、やりたかったことも、
全部「彼のために」後回しになっていた。
「このままじゃ、私が消えてしまう」
休日、部屋のソファに寝転びながら、ふと天井を見上げた。
そのとき、ぽつんとこんな言葉が浮かんだ。
「私、誰のために生きてるんだろう」
彼の笑顔を見るため?
彼に必要とされるため?
それって、本当に“幸せ”なのかな?
その夜、涙が止まらなかった。
寂しさ、虚しさ、怒り、そして…情けなさ。
「このままじゃ、私が私でなくなってしまう」
そのとき初めて、自分を守りたいと思った。
「自分の気持ちに素直になる方法、ありますか?」
そんなある日、Instagramの広告で「ココナラ電話相談」のバナーが目に留まった。
“恋愛のモヤモヤ、心の整理をサポート”
その言葉に導かれるように、私は恋愛カウンセラーの先生に電話をかけた。
電話口の向こう、先生の声はとてもやわらかくて、あたたかかった。
「彼に必要とされることで、自分の存在価値を感じていたんですね」
「でも、本当の幸せって“誰かのため”だけでは、成り立たないものですよ」
静かに、でも力強くそう言われたとき、胸の奥がじんわりと熱くなった。

「私の幸せって、なんだろう?」
先生との会話をきっかけに、私は毎日少しずつ“自分の気持ち”と向き合うことにした。
・何をしていると楽しいのか?
・どんな瞬間に笑えているか?
・どんな未来を望んでいるのか?
思い出したのは、昔好きだったこと。
カメラを持って街を歩いたり、カフェで文章を書いたりする時間。
誰に評価されなくても、自分が好きだった時間たち。
「自分の幸せって、実はずっとそばにあったんだ」
そう気づけた瞬間、胸がふっと軽くなった。
彼との別れ、そして自分との再会
陽介には、正直に話した。
「私、あなたに必要とされることが生きがいになってた。でも、それじゃダメなんだって気づいたの」
彼は最初驚いていたけれど、やがて静かに頷いた。
「自分の幸せをちゃんと考えたい。だから、一度離れよう」
泣いた。とても苦しかった。
でも、その涙のあとに訪れたのは、不思議な解放感だった。
誰かの“必要”に応えるためじゃなく、
自分の“幸せ”のために生きる。
その一歩を、自分の意思で踏み出せたことが、
何よりも私にとって大切な選択だった。
恋愛は、幸せを分かち合うもの
今、私は恋をしていない。
でも、不思議と寂しさは感じない。
好きな服を着て、好きなカフェで過ごし、
週末はカメラを持って街を散歩する。
そんな一日一日が、じんわりと心を満たしてくれる。
恋をすることがゴールじゃない。
誰かに必要とされることが、幸せの条件じゃない。
“自分の幸せを大事にできるようになったとき、
本当の意味で誰かと分かち合える恋が始まるのかもしれない”
そう思えるようになった自分が、ちょっと好きになった。
あなたの幸せ、誰が決めていますか?
もし今、恋に疲れているなら。
「誰かに必要とされたい」って苦しくなっているなら。
一度、立ち止まってみてください。
あなた自身の気持ちを、
「私、本当はどうしたい?」って、
そっと聞いてあげてください。
自分の幸せを後回しにしないでいい。
誰かの“ため”だけに生きなくていい。
あなたが“あなたのため”に笑える恋をするために。
「自分の幸せ」を、どうか一番大事にしてください。
