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第2話『カベルネ・ソーヴィニヨンと、嘘から始まった恋』

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― “大人の恋”って、こういうこと?


彼と出会ったのは、職場の歓迎会だった。
第一印象は「なんて余裕のある人なんだろう」。
冗談をさらりとかわし、目が合えば微笑む。
けれど、どこか本心を見せないその笑顔に、私は惹かれてしまった。


「彼女、いないよ」
そう言った彼の言葉を、私は信じた。

でも、それが“やさしい嘘”だったことは、
その後すぐにわかった。


それでも私は、恋に落ちた。

彼は、深くて強い。
どんな日でも、私を受けとめてくれる。
話を聞いてくれて、肌に触れる手があたたかくて。
一緒にいると、自分のすべてが肯定される気がした。

だけどその愛は、どこか“貸し与えられているもの”のようだった。


ある夜、彼が開けてくれたのが、
ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン。

グラスに注がれたワインは、
深いルビー色で、どこまでも重厚。
カシスやブラックチェリーの香りに、シガーや杉のようなウッディなニュアンス。

ひと口含むと、豊かな果実味と引き締まった渋みが、
私の胸を打ちぬいた。


「これは、まるであなたみたいなワインね」
ふざけてそう言った私に、
彼は少し寂しそうに微笑んだ。

きっと彼も、罪悪感を抱えていた。
でも、それ以上に私たちの関係は、
強く、絡まり合って、もうほどけない。


カベルネ・ソーヴィニヨンのように、
この恋も“熟成”を必要とするのかもしれない。

嘘から始まった恋が、
いつか本当になると信じて――
私はその夜、グラスを空けた。


“強さと複雑さの狭間で揺れる恋に”

カベルネ・ソーヴィニヨン(重厚・赤ワイン)

  • 【産地】カリフォルニア、フランス・ボルドー地方、チリなど
  • 【品種】カベルネ・ソーヴィニヨン100%(または主体)
  • 【香り】ブラックチェリー、カシス、杉、バニラ、ミント、タバコ
  • 【味わい】タンニンしっかり/濃厚で骨格があるフルボディ
  • 【相性】赤身肉のステーキ、熟成チーズ、ハンバーグ、ビーフシチュー

複雑で、どこか苦くて、それでも飲みたくなる。
カベルネ・ソーヴィニヨンは、“大人の恋”そのもの。


嘘も、覚悟も、愛の一部なら

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“深くて重たい一杯”を必要とする夜に寄り添うワインを取り揃えています。

ただ甘いだけじゃない恋に、
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